東洋医学の診断法 虚実

漢方薬は、その人の体質や症状に合ったものでないと、効果を発揮することができません。その体質を見極めるためには、漢方特有の”ものさし”が必要で、その”ものさし”をもとに、漢方薬を選びます。

漢方で診る「体質」とは?
漢方では、独自の理論に基づいて体質を診るオリジナルの“ものさし”があります。それが「証(しょう)」と「気・血・水(き・けつ・すい)」です。漢方では一人ひとりの病態だけでなく、体質を重んじて漢方薬が処方されるのです。
そのため、ときにはニキビの治療なのにおなかを診たり、冷えの治療なのに生理(月経)の状態を聞いたり、治してもらいたい病気や症状とは関係のなさそうな部分も診察したり、内容を聞いたりします。それは、その人の体質を見極めた上で、その人に合う漢方薬を処方するために必要な診察の一つです。

「証」は体力、病気に対する抵抗力のものさし
「証」とは、分かりやすくいうと、「その人の状態(体質・体力・抵抗力・症状の現れ方などの個人差)をあらわすもの」です。本人が訴える症状や、体格などの要素から判別します。そして漢方ではその「証」に合った漢方薬が処方されます。
したがって、同じ症状でも、自分の「証」と他の人の「証」が違えば、当然、処方される漢方薬も違ってきます。自分が服用している漢方薬を同じ症状だからといって、他の人が飲んでも効果が期待できない可能性があるのは、こういった理由からなのです。
※証に関係なく、症状などから判断して漢方薬を処方するケースもあります。

「証」の分け方「虚」と「実」
「証」の分け方のひとつに「虚・実」があります。
体力や抵抗力が充実している人を「実証」、体力がなく、弱々しい感じの人を「虚証」と言います。
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