東洋医学養生法 糖尿病

漢方の世界では「糖尿病」という概念はありません。何故かというと食べ過ぎさえ止めれば治る病気だからです。しかし、昔からいわれている、口の渇き、多尿、四肢のしびれに加え、重症例で見られる体重減少などを改善するときに、漢方薬が用いられてきました。
漢方薬は、一剤でさまざまな効能や効果を持っているため、幅広い症状に対応できます。

糖尿病で血糖値が高いと血液粘度が増し、脳梗塞や虚血性心疾患の合併も増えます。血液粘度の増加や血栓症の場合、漢方では「瘀血」と定義されます。

多飲・多尿・夜間頻尿・下肢のしびれなどは、「腎虚」と定義されることも多く、気がスムーズに流れない「気滞」、体液の分布がアンバランスで滞っている「水滞」などの原因が多岐に渡ります。その点でも、漢方薬で改善される可能性は高いといわれています。

糖尿病にともなう、口の渇き、多尿、多汗、神経症状など多方向からのアプローチが可能です。症状に合わせて漢方薬が選択されています。

具体的には、高血糖に対しては、肥満の自覚症状がある場合、合併症に対しての治療が考えられます。高血糖に対しては、漢方薬のみでの血糖降下作用は十分ではありません。西洋医学的な薬の対象にならない軽度の症状に対して使用します。

血糖値の上昇または糖尿病の進行にともなう、口の渇き・多飲・多尿や全身のだるさや疲れやすさなどの症状に対して使用します。

肥満をともなう処方は、抗肥満作用やコレステロールや血糖値の低下を期待して使用します。糖尿病神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病腎症などの合併症に対しても使用するケースが多いです。

糖尿病の合併症の原因である「微小循環障害」(毛細血管が働かず、細胞に栄養がいかなくなった状態)は、漢方医学的には「瘀血」ととらえられ、血流を改善する駆瘀血剤を使用します。

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