東洋医学の治療法 一貫堂処方

 日本の伝統医学に、一貫堂医学があります。
大正から昭和の初期に活躍した森道伯によって考え出された漢方で、
「臓毒証」、「瘀血証」、「解毒証」と病人を三大体質に分類します。

臓毒証体質とは
臓毒証体質とは風毒、血毒、食毒、水毒の4つの毒が日々の生活の中で蓄積されて、病気が起こりやすくなっている体質です。本来は胃腸が強くて丈夫な体なのに、美食や運動不足、暴飲暴食などの不摂生によりいろいろな症状が起こります。例えば甘いものを食べるとアレルギーが悪化することがありますし、アルコールや刺激物のとりすぎで炎症がひどくなることがあります。

処方には防風通聖散、五積散があります。

防風通聖散は熱の症状が主で食毒による臓毒証体質の基本的な処方となります。体格は丈夫で便秘があり、腹部に皮下脂肪が多い、のぼせ、肩こり、浮腫み等をともなう場合に使います。

五積散は防風通聖散とは逆に冷えの症状が主で、体内に気、血、食、痰、寒の5種類の病毒が鬱積するのを治すという意味で名前がつけられています。

解毒証体質とは
解毒証体質とは、肝臓の解毒作用が弱いために毒素を溜め込みやすい体質です。臓毒証体質とは逆に虚弱体質で風邪をひきやすい、炎症を起こしやすい、皮膚につやが無く浅黒いなどの特徴があります。

解毒証体質は結核などの感染症にかかりやすいタイプで、結核感染を目標として予防にあたりましたが、現在では結核感染は生死にかかわる問題ではなくなりましたので、それに代わってアレルギー疾患を目標に薬を使われる機会が増えています。
結核菌であれ花粉などのアレルゲンであれ、外界からの刺激に反応しやすく、容易に炎症を起こすような体質者と解釈されています。

処方には柴胡清肝湯、荊芥連翹湯、竜胆瀉肝湯がありますが、三種類のどれも温清飲という処方の加減方になります。

温清飲は四物湯と黄連解毒湯の合方で、四物湯は血を増やし、血行を良くする働きがあり、黄連解毒湯は清熱作用があります。皮膚は潤いが無くカサカサしていて、炎症が長びいて慢性化している場合に使います。

柴胡清肝湯は温清飲に清熱、排膿の働きを強め、主に小児の慢性扁桃腺炎などの解毒証体質に使います。

荊芥連翹湯は温清飲に解表、排膿の働きを強め、耳、鼻、咽喉、肺、皮膚などの体表部の慢性炎症によく用いられます。

瘀血証とは
瘀血(おけつ)はふる血などとも呼ばれ、血液の流れが悪くなってそこに滞った状態で、炎症や化膿、痛み等の症状を引き起こします。
女性は出産や生理により多少の瘀血は必ずあります。そのほか瘀血になる原因としては打撲、外傷、手術や運動不足、高血圧や糖尿病などの慢性病があります。

難治性の病、慢性病はほとんど総てに瘀血が関係しているともいわれていて、症状としてはのぼせ、便秘、頭痛、イライラ、不眠、肩こり、動悸、生理不順などたくさんあります。

処方には通導散、桃核承気湯、桂枝茯苓丸、大黄牡丹皮湯などがあります。

その他にも、特に子供のアレルギーの場合、脾虚証を考える場合や、ストレスが関係する場合など、証をみながら処方を考えていきます。
このエントリーをはてなブックマークに追加